遺言を作る上で形式的な注意点は、それぞれ「自筆証書遺言の作り方」「公正証書遺言の作り方」「秘密証書遺言の作り方」で説明したとおりですが、遺言の内容での注意点があります。
あいまいな表現はしないように
遺言の表現が不明確な場合は、遺言の解釈についての争いが起こってしまうかもしれません。
争いが生じた場合、最終的に裁判所の判断まで及んでしまうこともあります。
遺言の表現はできるだけ具体的に明確に書く必要があります。
法定相続人は誰かをリストアップし、次のような表現で書くことをお勧めします。
- 相続人には「相続させる」という言葉を使うようにする
- 相続人ではない者には「遺贈する」という言葉を使うようにする
- 「誰に」「何を」「相続または遺贈させるか」を具体的に表現し、省略表現は避けること
- 全てを遺贈するときは「包括遺贈する」という言葉を使うようにする
悪い例
- B不動産を養子Xに「与える」「取得させる」「譲渡する」
- 相続か、贈与(遺贈)か、判断がつきません。
- C不動産を長男Y及び長女に「相続させる」
- 持分割合が不明瞭です。
良い例
・A不動産を妻Wに「相続させる」
・B不動産を養子Xに「遺贈する」
・C不動産を長男Y及び長女Zに各2分の1の割合で「相続させる」
財産の表示は具体的にする
遺言書に書く財産は、できるだけ具体的に表示します。
・不動産の場合
→登記事項証明書の通り記載する
・預貯金の場合
→金融機関名・支店名・預貯金の種別を記載する (出来れば口座番号も特定すべき)
・有価証券の場合
→有価証券の種類・数(金額)を記載する
・自動車の場合
→車名・ナンバー等 自動車登録の内容がわかるように記載する
・その他動産
→動産の種類・色・保管場所・原材料・大きさや製作者などで特定する
遺言の保管
自筆証書遺言や秘密証書遺言は遺言者だけで作成するため、その内容はもちろん遺言書の存在自体誰も知りません。あまり厳重に保管しすぎても発見されない可能性があります。
そのためにも、遺言者の死亡をすぐに知ることができる、信頼できる第三者に預けるのがよいでしょう。
遺言を撤回したいとき
いったん遺言を作成しても、気持ちが変わった場合には自由に変更や撤回ができます。
撤回は遺言の全部でも一部についてでもできます。
遺言の撤回の方法
前の遺言を撤回する旨の遺言をする
前の遺言を撤回する遺言をすることができます。
ただ、前の遺言が公正証書遺言で、それを撤回する旨の新たな遺言が自筆証書遺言の場合、偽造だと疑義がもたれる可能性もあり得ます。この場合は、できれば、公証役場で新たな遺言を作成するのが望ましいです。
前の遺言に書いた内容と異なる(抵触する)遺言をする
前の遺言に書いた内容と異なる(抵触する)遺言をすれば、その部分の遺言は撤回したことになります。
たとえば「A銀行の定期預金は長男に相続させる」と書いたものを「A銀行の定期預金は妻に相続させる」などです。
前の遺言に書いた内容と異なる生前行為をする
前の遺言に書いた内容と異なる生前行為をした場合は、その部分の遺言は撤回したことになります。
たとえば「A銀行の定期預金は長男に相続させる」と書いたものを、遺言後、遺言者A銀行の定期預金を解約した場合などです。
遺言者が遺言を破棄する
遺言者が遺言を破棄すれば、遺言がなくなります。
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は、破棄すればなくなるだけですから問題はありません。
ただし、公正証書遺言の場合は、公証役場に原本が残っていますので、その遺言を撤回しなければ問題が残る可能性があります。
遺贈した目的物を故意に破棄する
遺贈する物がなくなりますので、その部分の遺言は撤回したことになります。


HOME